【製品について】 イギリス Whiteley Stentorian 社 (Whiteley Electrical Radio CO ) の10インチ (25㎝) フルレンジ、HF-1016 。ホールやシアターでの使用に対応して、良く知られたHF-1016の磁力を強化したバージョンで、磁束密度が12,000gaussから、16,000 gaussに引き上げられています。手にすると、ずっしりと重い、重量級のユニットとして仕上げられています。製造時期は、Stentorianの製品としてはかなり後期で、片方のユニットには1970年の製造印が確認できます。2本での出品です。(2本としたのは、もう片方の製造印が確認できないためです。同相信号できちんと点音源を結ぶことは確認してありますので、Stereo使用に問題はありません。また、形状的にも、HFシリーズのスピーカーは、ロングランの製品ということもあり、製造時期やロットの違いから、ターミナルの様子やリード線の取り出し方など、幾つかの相違点がみられますが、出品の2本にはこうした相違は見られないようです。) 日本では、Tannoy や Goodmans 、Wharfedaleなどの影に隠れた感のあるStentorian のスピーカーですが、イギリス本国では、Stentorianならではの個性をもったスピーカーとして、今でも高い評価を受けています。イングランド・トーンのファンなら、１つは手元に置きたいスピーカーだと思います。 HFシリーズはStentorianを代表ユニット群で、この中では、一回り小ぶりのHF-812も優れたユニットですが、やはり10インチならではの余裕のある低域は魅力的です。(12インチになると、高低のバランスからどうしてもツイーターが欲しくなりますので…。)HFシリーズでは、麻布と紙のラミネート素材をコーン紙に使っています。(エッジ部は麻布のみでセンシビリティの高さを確保しています。)剛性の強い素材で、これがとても立ち上がりの良い音に貢献しているようです。加えて、強化型のHF-1016では、遠くまで響く、いわゆる「よく跳ぶ」として仕上げられています。また、イギリスのスピーカーらしい優雅な響きを聴かせる一方で、比較的骨太の音質で、典型的なアナログ・サウンドの１つとなっているように思います。クラッシックの弦楽ファンがStentorianを愛用するのもうなづける気がします。 訳アリは、それぞれ片方のボイス・コイルが、断線しているようで、インピーダンス8Ωとしてしか使えないということです。HFシリーズのユニットの特色として、ボイス・コイルが2組巻かれており、結線により、3-5(4)、7.5(8)、15(16)Ωの３種類のインピーダンスが選べるという点があります。端子A－D、B－C間にそれぞれボイス・コイルが巻かれており、端子盤には、4Ωの場合はこの2組のボイス・コイルを並列に、16Ωの場合は直列に、それぞれ繋いで使用するように、そして8Ωの場合は、2組の内、いずれかは遊ばせて、片方のみを使用するよう指示されています。出品のHF-1016は、2本ともB－C間に導通がなく、この間のボイス・コイルが断線しているようです。(片方は、リードの取り出し個所と端子盤の間の結線も外されています。)したがいまして、A－D間で8Ωのユニットとしてのみ使用できる